インスペクション

インスペクションが市民権を得る日

宮田明典

ハウスクローバー株式会社の創業者兼CEO。また同時に、毎年全国から2〜300組ほどの住宅購入希望者の相談があり、実際の購入もサポートする現役の不動産エージェントでもある。業界歴は15年以上。多くの人から受ける相談内容と不動産業界の現状にギャップを感じ、住宅購入に必要なサービスと優良な不動産エージェントのネットワークを構築したプラットフォーム「HOUSECLOUVER」を企画運営している。自身が情報を発信しているYoutubeやブログは多くの住宅購入者にとって欠かせないバイブルとなっている。 ▶︎▶︎ このエージェントに相談する ◀︎◀︎

先週の金曜日、宅建業法改正のセミナーに参加してきました。

ご存知の方もいるかもしれませんが、インスペクションと呼ばれる住宅検査の法制度化が来年の4月より施工されます。

法制度化されると言っても、すでに利用できるサービスです。

どんな内容かも合わせて、インスペクションにまつわる知識をお伝えします。

インスペクションとは?

まず基本的な言葉の意味から説明していきます。

インスペクションとは単純に住宅検査のことになります。

特に中古住宅の場合、見えない部分の不安が大きくなります。

そんな不安にたいする解決策として期待されているのがこのインスペクションです。

日本ではまだまだ馴染が浅いかもしれませんが、欧米では当たり前のように行われています。

インスペクションと「建物状況調査」

今回の宅建業法改正で制度化されるのは「建物状況調査」です。

この建物状況調査は、契約前に行う重要事項説明の必須項目となります。

インスペクションとの言葉の違いですが、ほぼほぼ同義語ではあるものの、正確に言うと少し異なります。

インスペクションは広義の住宅検査であって、建物状況調査は国土交通省が行う「既存住宅状況調査技術者講習」を修了した建築士が行うものです。

建物状況調査でないと、重要事項の説明義務を果たした事にはならないのです。

ただし、実際の営業現場ではまためて「インスペクション」とか「建物検査」というように呼ばれるとは思います。

必ずしも建物状況調査をしなければいけないわけではない

勘違いしやすいところですが、法制度ではインスペクション(建物状況調査)の実施を義務付けるものではありません。

あくまでするかしないかの確認や、報告書があればその説明を義務付けるというものです。

実際に運用されてみないと分からないですが、インスペクションには売主の協力が不可欠です。

しかし、実際には協力に応じない売主も出てくるかもしれません。

ただインスペクションは買主だけでなく売主にとってもメリットがある制度なので、徐々にそういう対応も減っていくのではないでしょうか。

インスペクションと住宅瑕疵保険

瑕疵とは見えない部分の欠陥のことをいい、通常の中古住宅の取引では、売主が一定期間、この見えない部分の欠陥について責任を負います。

しかし売主が個人の場合、長くて3ヵ月で、そもそも無しとなっている場合もあります。

実際に物件を引き渡してもらって何かあった場合の補償が新築と比べて少ないのが中古住宅の問題点でもありました。

しかし、住宅瑕疵保険では見えない部分の欠陥にたいする補償を保険に転嫁して、何かあった時は保険から修理費などを受け取れるようにできる制度です。

しかも期間も最長5年間と長くなります。

注意しなければいけないのは、先ほどの「建物状況調査」と住宅瑕疵保険に加入するためのインスペクションとは別物です。

住宅瑕疵保険への加入を検討するのであれば、瑕疵保険に対応したインスペクションが必要になります。

また検査をしたからといって、必ずしも住宅瑕疵保険に加入出来るわけではありませんので、注意も必要です。

売主と買主のどちらがするのか?

一番難しいところではありますが、特に決まりがないため、ケースバイケースになります。

参考までにアメリカやオーストラリアでは、インスペクションは買主が行うと法律で決められています。

なぜかというと、売主が行うインスペクションは売主に有利な内容になってしまい、不都合な事実が隠される懸念があるためです。

実際にアメリカとオーストラリアではそのような事件もたくさん起こり、法律が改正された経緯があるようです。

この事例を考えれば、一番いいのは買主が行うことではないでしょうか。

費用はかかりますが、大きな買い物で負うリスクを考えると、中古住宅の状況が見える状態になるのは非常にメリットが大きいと思います。

まだ法制度化まで時間はありますが、今でも制度としてはあるので、心配な方は是非ご相談ください。

宮田明典

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